エッセイ: なぜリーンシックスシグマなのか

ウィキペディアでビジネス改善手法やエンジニアリング手法を検索すると、1000以上の異なった理論や手法、ツール(以下ツールと省略)などを見つけることができます。恐らく学者の数だけ違ったツール類が存在するのでしょう。

そこで僕は色々なツールを実際の業務で試してみました。そして分かったことは、それぞれのツールは限られた範囲内、つまり小さな問題を解決することには役立ったものの、大きな問題を解決することにはあまり役立たなかった、ということでした。

例えばある特定の製造不良を減らすために使ったあるツールがとても役に立ったとしても、その結果が他の部門に大きなマイナスの影響を与えたり、根本原因である不具合を生みやすい製品の設計自体を変えることができなかったり、全体としてはあまり効果がなかった、というような事です。そもそもツールを使うときはある特定の問題を解決するためであって、広い範囲の大きな問題を解決するためではないので、当然と言えば当然の結果なのですが。

では仮に、もっと広い範囲、つまり様々な組織部門に渡る大きな問題を解決するために、それぞれの部門がそれぞれ最適と思われるツール使って個別の問題を解決したとしたら、全体の問題も効果的に解決できるでしょうか。答えは否でしょう。きっと解決策に整合性がなく、 フランケンシュタインのような恐ろしい結果になってしまうと思います。

ツールと部分最適化

多くのツールは局所的な部分最適化を目的としているため、決して全体を最適化するものではありません。全体を最適化する、つまり大きな問題を解決するためには、もっと別の方法が必要になってきます。

それには色々な方法があるとは思いますが、企業内に統一した問題解決のためのフレームワークを導入することも1つの方法です。リーンシックスシグマはその代表的なフレームワークの1つであり、多くのツール類を統合して、全体の最適化を図ることができます。それがフレームワークの目的であり価値でもあります。

時々、ツールを使うことが即ちリーンシックスシグマであるように誤解されている方がいますが、厳密に言えば、リーンシックスシグマは問題を解決するための考え方や順序であり、たまたまその実現方法として各種のツールを正しい順番で使っているだけのことです。ツールを使うことがリーンシックスシグマの価値なのではなく、問題を解決し、全体を最適化する効果的な考え方や順序、そしてその方法を提供することがリーンシックスシグマの価値なのです。