モンテカルロシミュレーション:こはぜ屋の場合

今回は前回に引き続き、ドラマ「陸王」を例にとって話しを進めたいと思います。

前回は、MinitabのDOE(実験計画法)機能を使って、陸王のソールの硬さ(硬度)を決める数式を導きました。そして今回はDOE(実験計画法)で導いた数式を用いて、入力データである繭の大きさ、茹で温度、茹で時間のバラツキが、出力データであるシルクレイの硬度のバラツキにどのように影響するのかをモンテカルロ・シミュレーションで調べてみたいと思います。

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解説: 切断正規分布

機械系のリーンシックスシグマのプロジェクトでは時々、切断正規分布を扱うことがあります。切断正規分布は、下側または上側(または両側)が切断されている正規分布です。例えば、接した二つの部品と部品の隙間間隔が正規分布を取る時、隙間間隔はゼロ(完全に接触している状態)以下には絶対にならないので、その隙間間隔は切断正規分布になります。

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解説: 飛行機事故とセンサー・フィードバックの分布

ボーイング 737 Max 8機が短い期間に2回の墜落死亡事故を起こし、多くの航空会社が同機種の運航を停止する事態となっています。多くの乗客が亡くなったとても悲しい事故ですが、リーンシックスシグマを生業としていると、「ボーイング737は一体どのくらいの確率で墜落しているのだろうか」などと、統計的なことを考えてしまいます。

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書評: 統計学が最強の学問である

「将来はどんな職業に就きたいのか」と高校生になる息子に聞いたところ、「エンジニアかな」と答えました。「それは良い選択だと思う。でも一体何のエンジニア?バイオから機械、それから原子力からコンピュータまで、ありとあらゆる分野でエンジニアリングの仕事が存在するけど、何のエンジニアになりたいのか」と改めて聞いたところ、「コンピュータ・プログラマーかな」と答えたので、「給料はどんどん安くなるし、グローバルな競争はどんどん激しくなるし、技術の移り変わりも速すぎる。コンピュータ・プログラマー、それだけはやめておけ」と言いました。その代わりに「数学が得意なのだから、統計を使う仕事に就け」と薦めました。統計を使う仕事を息子に薦めたのは、この本が無関係ではありません。

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事例: 測定フェーズと GQM パラダイム

リーンシックスシグマのプロジェクトは、各フェーズの終わりにミーティング(Tollgate Review Meeting)を設けて、そのフェーズの目的が十分達成されていて次のフェーズに移る準備ができているかを審査します。先日あるリーンシックスシグマのプロジェクトがミーティングを無事に終えて、Define(定義)フェーズから Measure(測定)フェーズへと移りました。

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書評: R In Action

R言語の勉強を始めました。R言語が仕事上これといって必要だったというわけではないのですが、ふと今話題の統計処理用のプログラム言語に興味が出てきて、一冊本を買って読み始めました。実はまだ読み終えていないのですが、読み終える頃には「R言語はリーンシックスシグマで使えるのか」という自らの問いに、ある程度自分なりの答えが見出せているのではないかと思います。

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エッセイ: 一言で言えば・・・

パワーポイントを使って一時間近く、くどくどとリーンシックスシグマについて説明した後、退屈した一人の参加者が「では一言で言って、リーンシックスシグマとは一体何ですか?」と聞いてきました。決して彼を雲に巻くつもりはなかったのですが、一時間の内容を一言でまとめれば「リーンシックスシグマは確率論的アプローチをとる問題解決方法です」と答えました。この確率論的アプローチこそがリーンシックスシグマの核心だと思うからです。

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エッセイ: ゼロ DPMO って本当?

先日、取引先のプリント基板メーカーの方が来社されました。その会社は弊社に電源装置(プリント基板として)を納品してくれています。その装置はそれほど数が出る製品ではないので、自社生産ではなく外注に任せているからです。来社されたその会社の部長さんは製造と品質管理を行っている方で、もっと仕事の量(取引)を増やして欲しいという趣旨のもと、色々な技術説明をして下さいました。

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書評: Numbers Rule Your World

会社の同僚から薦められた統計に関する本です。統計の本といっても、統計に必要な数式やグラフは一切でてきません。話を補足する程度の数字と簡単なグラフが少し出てくる程度です。この本は、数字にまつわる幾つかの興味深い話をまとめたもので、殆どが文章です。数式を考えずに統計の話を読んで楽しむには、面白い本かもしれません。

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