エッセイ: 2020年の抱負-タグチメソッド

最近タグチメソッドについて以前にも増して勉強しています。なぜなら「どうして日本ではシックシグマ(DFSSを含む)の”ロバスト設計と最適化”ではなく、タグチメソッドが主流なのだろうか?」という疑問を晴らすためにこれまでタグチメソッドを勉強していましたが、どうもそんな表面的な勉強ではこの疑問が解決できないような気がしてきたからです。

表面的な勉強とはタグチメソッドの入門書を読んだり、インターネットで勉強したり、実際に使ってみたりすることです。

僕の表面的な理解では、確かに1980年台まではタグチメソッドは素晴らしいのですが、その後に発展したシックスシグマ(DFSSを含む)はしっかりとタグチメソッドを取り込みながら、コンピュータ・ソフトウェアや統計処理と融合してさらに進化しています。

もし僕の理解が本当ならば、タグチメソッドではなくシックスシグマ(DFSSを含む)を使えば十分なのではないか、と思えてきます。先の投稿にも書きましたが、事実シックスシグマやDFSSのトレーニングではタグチメソッドについてはほとんど触れません。

つまり表面的なタグチメソッドの勉強と表面的な僕の理解だけでは、タグチメソッドを使う決定的な理由が見つからなかったのです。

そこで「なぜ日本ではタグチメソッドなのか」そして「タグチメソッドを使う決定的な理由は何なのか」という疑問を解決するために、2020年は本格的にタグチメソッドを勉強する決心をしました。

最初の実行として、次の本を購入しました。

  • Taguchi’s Quality Engineering Handbook 1st Edition
    by Genichi Taguchi (Author), Subir Chowdhury (Author), Yuin Wu (Author)
  • Hardcover: 1696 pages
  • Publisher: Wiley-Interscience; 1 edition (November 8, 2004)
  • ISBN-10: 0471413348
  • ISBN-13: 978-0471413349
Taguchi’s Quality Engineering Handbook

181ドル(定価218ドル)もする巨大な本がアマゾンから届いたときは、そのずっしりくる重みに圧倒されました。1,696ページ厚さ6センチを超える巨大な本なので(比較のため電卓と一緒に写真を撮りました)、ハンドブックとはいえ手で持つには重すぎます。

ページを開いてさらにショックを受けたのが、活字の小ささでした。本の大きさ、厚さ(ページ数)、そして小さな活字が、この本の莫大な情報量を物語っていました。

最初の章を読んでみました。最初の章は、田口玄一博士の「品質と生産性」についての考えが書かれていました。大変興味深かったのが、田口博士は 「品質と生産性」 を国家戦略として考えておられたことです。つまり 「品質と生産性」 の向上がどのように失業率やGDPに関連しているのか、日本が豊かになるためには 「品質と生産性」 の向上 だけではなく発明や改善が必要なこと、などを田口博士は論じていました。

この最初の章を読んだだけでも、田口博士はタグチメソッドを企業内の製品開発部や品質管理部の単なる技術的手法ではなく、国家を豊かにするための一つの手段として位置付けていたことが伺い知れます。

(この本が出版されたのが今から15年ほど前の2004年です。残念ながら今の日本の 「品質と生産性」 そして「発明と改善」は、田口博士が15年前に指摘された方向とは逆の方向に進んでいるような気がします)

2020年の抱負は、この本を読んでタグチメソッドをマスターすることです。それまでは「シックスシグマとタグチメソッド、どちらが良いのか」という結論は保留しておきます。