リーンシックスシグマとソフトウェアの関係は二つあります。一つはリーンシックスシグマを使って、ソフトウェアを開発すること。もう一つはソフトウェアを使って、リーンシックスシグマを行うことです。今回は後者、つまりリーンシックスシグマ向けのソフトウェアについて書いてみようと思います。
とは言っても、僕もリーンシックスシグマ向けのソフトウェアを色々使ってみたわけではないので、一つ一つのソフトウェアについては評価できません。そのため僕が日頃使っているソフトウェアを中心に、なぜそれを使っているのか、その理由について書いてみようと思います。
リーンシックスシグマの仕事をしていると、しばしばソフトウェアの話になります。
色々なソフトウェアが市販されていますが、リーンシックスシグマの仕事で使うどのソフトウェアも結構高額で、とても個人で購入するわけにはいきません。そしてソフトウェアの生成物をチームで共有することが多いので、ソフトウェアを購入する際は、必ず複数のライセンスが必要になってきます。
そのため、同僚がソフトウェアの話をするときは決まって、自分の気に入ったソフトウェアを他の同僚にも薦めつつ、会社内にファンを作り、上手く行けば会社標準のソフトウェアとして会社に買わせよう、という、そんな魂胆が見え隠れするのです。
リーンシックスシグマ向けのソフトウェア・パッケージにはどのようなものがあるのか、Wiki で調べてみると、かなりの種類が市販されていることが分かります。
List of Six Sigma Software Package
- Actuate
- Aeolus
- Arena (software)
- ARIS Six Sigma
- ARM – Strategic Thought Group
- @RISK for Six Sigma
- CHARTrunner by PQ Systems
- DataLyzer Spectrum
- DiscoverSim
- DOE Pro XL
- EngineRoom by MoreSteam
- IBM WebSphere Business Modeler
- iGrafx Process for Six Sigma
- i-nexus
- JMP
- Oracle Crystal Ball
- Microsoft Visio
- Minitab
- NCSS Statistical Software
- Nimbus Control
- PowerSteering Software
- QI MACROS
- QPR ProcessGuide by QPR Software
- Quality Companion by Minitab
- Quality Tools Charts Generator QTcharts
- Quality Window by Busitech
- Quantum XL
- QWXL 3 by Busitech
- Quik Sigma Professional by Promontory Management Group
- RCASE
- SDI Tools
- SigmaFlow
- Sigma Magic
- SigmaXL
- Software AG webMethods BPM Suite
- SPC XL
- Statgraphics
- STATISTICA
- TalkFreely LTD
- Telelogic System Architect
- Select Architect Business Process Modeling
- Visual-XSel
- R language
- SigmaFlow Integrated, Project Management Tools
- Grouputer SigmaSense
- TalkFreely LTD
- Quality Tools Charts Generator QTcharts
上記 Wiki のリストのうち、僕が使ったことがあるツールは太字にしたものだけです。リストにないソフトウェアで僕が日頃使っているのが、
- Microsoft Office (Word, Excel, PowerPoint)
- Microsoft SharePoint
- MALTAB/Simulink
- Frontline Solver (Risk Solver Pro)
- LeanKit
- QFDCapture
僕はマスターブラックベルトとしてリーンシックスシグマを専業でやっていますが、MS-Office で 60%、Minitab で、20% くらいの仕事はこなせます。もしこれからリーンシックスシグマを始めるのであれば、高価なソフトウェアは必要ありません。Office と Minitab があれば、すぐリーンシックスシグマが始められます(Minitab は少々高いですが)。
Wiki のリストには、リーンシックスシグマで使う代表的なツールをパッケージ化して、ツールのデータを連携させたものがあります。例えば Quality Companion など。きわめて個人的な意見ですが、パッケージ化されたソフトウェアはあまりお奨めしません。
なぜならリーンシックスシグマの場合、業界や企業、プロジェクト対象に応じて、ツールの内容を変更する必要があるからです。同じツールでも、市場に様々なテンプレートが存在する理由は、万人向けの服がないのと同じです。そのためパッケージソフトは便利なようでも、かえって変更が難しいので使い難いと思うのです。
リーンシックスシグマのツール類はシンプルなものがほとんどです。Excelさえあれば、かなりのツールを自分で作り、仕事に用いることができます。社内でファイルの共有・再利用も簡単です。
Excel 向けのアドインとして市販されているソフトウェアもいくつかあります。例えば、QI MACROS や Oracle Crystal Ball など。Execl の場合 VBA や Automation を使って、自分でマクロ開発することもできます。
しかしアドインもマクロも、Excel との互換性とマクロの移動性にいつも悩ませられます。Excel がバージョンアップすると動作がおかしくなったり、マクロの不具合を直そうとしても、そのマクロを含めたファイルが会社中にすでに広まっており修正不可能だったりします。そのため、Excelのアドインやマクロを使う場合は、ちょっとした管理が必要になってきます。
リーンシックスシグマ、特にシックスシグマの場合、統計的データ分析を行います。リーンシックスシグマの統計ソフトウェアと言えば、Minitab が定番です。これさえあれば、データ処理、統計的分析、グラフ表示など、リーンシックスシグマで必要なことは大抵できます。ヘルプ機能も充実しているため、統計的手法を忘れてしまっても、ヘルプを使って勉強することもできます。
パッケージソフトにも統計処理機能がありますが、かなり限定された機能だと思います。やはり統計分析を行うのであれば Minitab が絶対お奨めです。
DFSS(Design for Six Sigma)を使って設計などを行う場合、Minitab では力不足なことがあります。その時は MATLAB/Simulink、またはモンテカルロ・シュミレーションのために Risk Solver Pro を僕は使っています。
リーンシックスシグマのプロジェクトはチームで実行することが多いので、ファイルを上手く共有する方法が必要になってきます。ファイルの共有には SharePoint が便利です。アクセス制限を用いたり、履歴管理ができたり、インターフェースを工夫したりすることができるので、僕は気に入っています。
グリーンベルト認定プロジェクトやブラックベルト認定プロジェクトを管理するために、僕はカンバンを使っています。そのツールとして使っているのが、LeanKit です。認定プロジェクトは DMAIC フェーズや DMADV フェーズ、PDCA フェーズなどを経て完了するので、それらのプロジェクトが今どのフェーズにあるのか管理するために、カンバンはとても便利です。
市場にはリーンシックスシグマ向けの色々なソフトウェアがあり、色々なツール類があり、色々な利用方法がありますが、まず Excel と Minitab さえあれば取り敢えず大丈夫でしょう。もし不便を感じるようなことがあれば、他のソフトウェアを試して、自分の気に入ったものを少しずつ追加していけば良いと思います。
個人的にはシンプルなソフトウェアが一番だと思っています。