先のポストで寿司屋のタブレット端末について書きましたが、そう言えば最近、テーブルにタブレット端末を置くレストランが増えています。レストラン利用者としては、ウェイターやウェイトレスのサービス無しに注文から勘定までテーブルに座ったまま出来てしまうので、とても便利なような気もしますが、一方ではお店との会話が減り寂しいような気もします。タブレット端末の導入がレストラン業界で進んだ背景には、端末の価格が下がったことが挙げられるでしょう。しかしこれほど急速なペースで導入が進んだ理由は、きっと他にもあるはずです。そんなことを考えていた矢先、ちょうど ASQ が発行する雑誌 QP に関連した記事が載りましたので、紹介したいと思います。
米国チェーンレストランでの導入状況
アップルビーズ(Applebee’s)はこの2年間で100,000台の端末を導入しました。チリーズ(Chili’s)は823のレストランにすでに導入済み、オリーブガーデン(Olive Garden)は800のレストランに導入予定。そしてパネーラ(Panera)も100のレストランで現在導入中だそうです。
タブレット端末導入の効果
タブレット端末を導入したレストランは、さらに効率的なレストラン運営と注文単価の上昇を報告しています。タブレット端末のあるテーブルは、平均して10分、顧客の滞在時間が短くなりました。理由としては、クレジットカードの清算時間の短縮が大きいようです。この滞在時間の短縮は、テーブル回転率の向上に寄与しているます。
パネーラでは注文の間違いが減り、注文単価が5ドル上昇したそうです。チリーズでは、顧客が端末から直接注文できるので注文が20%増え、特にデザート類は30%増えたと報告しています。注文が増えた背景には、端末がメニューの画像を表示することや、ウェイターやウェイトレスの目を気にせずに注文できることなどがあるようです。
また海外ではチップを払う習慣がありますが、チップの金額も15%増えたと報告されています。これは端末がチップの金額(勘定の20%)を自動的に表示するためです。
顧客の評判
報告では、70%から80%の顧客は、通常の接待よりも、タブレット端末の方を好むそうです。
顧客データの収集
これまでチリーズでは、領収書の裏にウェブサイトのアドレスを印刷し、顧客アンケートを行っていましたが、返答率はせいぜい1%程度でした。しかしタブレット端末で顧客アンケートを取るようになってからは、返答率は25%になりました。このフィードバックは顧客パターンやトレンド分析に大いに貢献しているそうです。例えばスタッフの配置や数の調整なども瞬時に行えるようになりました。
ビッグデータの時代
タブレット端末で収集できる情報は膨大です。このデータをどのように解析するかが、レストランの今後の課題です。例えば、顧客は席について5分以内に飲み物を注文し、1ドルのゲームをする傾向が分かっています。どのようなゲームを時間内に推奨するかなど、新しい試みがすでに始まっています。