高校や大学教育を通じてリーンシックスシグマを学んだ、という人は僕の周りには一人もいません。しかしリーンシックスシグマを学ばなくとも、統計学の単位を大学時代に取った人は多くいるようです。試しにその人たちに、「大学時代のプロジェクトで統計学的アプローチを使ったか」と聞くと、残念ながら「はい」と答える人はほとんどいません(少しはいるのですが)。
僕も残念ながら学生時代はリーンシックスシグマの「リ」の字も知りませんでしたし、統計学をプロジェクトで使うこともありませんでした。僕の学生時代はずいぶんと昔のことですが、学校教育でリーンシックスシグマや統計学的アプローチを教えないということは、今も昔もあまり変わりがないようです。
リーンシックスシグマや統計学的アプローチを経験してこなかった人たちに、「平均値よりもバラつきを知る方が大切だ」というような話をしてもなかなか通じません。リーンシックスシグマにとって肝心なことがなかなか伝わらないため、ついには「どうして学校教育でリーンシックスシグマや統計学的アプローチを教えないのか」という疑問を抱くようになりました。
その疑問が解決することは今後もないとは思いますが、その問題の改善に向けて、今回ほんの少しだけ貢献ができたような気がするので、それについて書いてみたいと思います。
1.大学の授業でリーンシックスシグマを紹介
会社の同僚がリーンシックスシグマの認定を取ったとき、認定プロジェクトで経験した苦労や、リーンシックスシグマについての話を、大学に通う息子さんに話したそうです。そしてその息子さんが大学の教授にその話をしたところ、教授がリーンシックスシグマに興味を持ってくれたそうです。さらに詳しい話をクラスで聞きたいということで、同僚と僕が大学の授業に招待されました。
電気工学のクラスだったため、僕はその一コマの授業の中で、DfSS(Design for Six Sigma)の概要と、実際に企業でどのように DfSS が使われているのか、ということを話しました。
一コマの授業で DfSS のすべてを伝えることは不可能です。しかし教授や生徒たちはリーンシックスシグマという言葉と、その意味だけは理解してくれたと思います。その中の一人でもよいので、リーンシックスシグマに興味を持ってくれて、自ら勉強を始めてくれれば幸いです。
2.大学生のインターンにリーンシックスシグマのトレーニング
夏休みにもなり、大学生のインターンが多くやってきました。僕が所属する部署にも数人配属されました。インターンと言っても、大学を卒業する頃には、立派な社員候補生になっているかもしれません。そこで「鉄は熱いうちに打て」ではありませんが、インターンにもリーンシックスシグマを教えることにしました。インターン期間が長い人には、実際にプロジェクトを行ってもらい、グリーンベルト認定を得る機会を与えました。
夏休みが終わって大学に戻ったら、インターンたちはきっと、友人や教授たちにリーンシックスシグマのついて話をしてくれるでしょう。そうすれば理解の輪が一層広がるのではないかと期待してます。学生にとっても、もしグリーンベルトの認定が得られれば就職が有利になるので、決して悪い話ではないと思います。
3.高校生のインターンとリーンシックスシグマのゲームを楽しむ
今年は仕事が多いためか、会社では高校生のインターンも採用しました。高校生と言えども、インターンには簡単なトレーニングを授けます。たった一時間だけですが、リーンシックスシグマもトレーニング・プログラムの中に組み込まれました。
統計学を知らない高校生にリーンシックスシグマを話しても、きっと眠ってしまうだけだと思ったので、その代わりにいくつかゲームを行って、プロセスのバラつきや改善手法などを経験してもらいました。またリーンシックスシグマを使っている有名な企業名(高校生でも知っているような)を挙げて、リーンシックスシグマという言葉に親しみを感じてもらいました。
正直なところ、年配のベテラン社員にリーンシックスシグマを教えるよりも、若い学生たちに教える方が手応えがあり楽しかったです。やはり鉄は熱いうちに打つものと、改めて思いました。