リーンシックスシグマのプロジェクトは、各フェーズの終わりにミーティング(Tollgate Review Meeting)を設けて、そのフェーズの目的が十分達成されていて次のフェーズに移る準備ができているかを審査します。先日あるリーンシックスシグマのプロジェクトがミーティングを無事に終えて、Define(定義)フェーズから Measure(測定)フェーズへと移りました。
Measure フェーズでは、二つの観点で測定を行います。一つは Define(定義)フェーズで把握した要求内容を測定(詳細に理解)すること、二つ目は改善するべき現在の問題点(プロセスや製品など)を測定することです。
僕が担当している リーンシックスシグマのブラックベルト候補者に、「どんなデータを取得しなければならないか、詳細なリストを作っておいて」と頼んだところ、彼女は「Define フェーズで定義した通り、プロジェクトの目的は、データベースに登録する資料のエラー数を 50% 減らすことです。だから測定するデータは、データベースに登録する資料の数とそのエラー数の二つだけです」と答えました。
「プロセスに問題があるからエラーが発生するのであって、エラー数を半分に減らすとなると、プロセスのいたるところを改善しないといけないよね。プロセスのどこから手を付けていくのか、それを決めるだけでも色々とデータを測定する必要があると思うけど」と言ったところ、彼女は頭を抱えてしまいました。しばらく考えた後、彼女は色々な測定データのアイデアを挙げてきましたが、思いつきだけで、あまりまとまりがありませんでした。
そこで GQM という方法を使ってみることを薦めました。GQM は測定すべきデータを捉えるためのシステマチックな考え方(捉え方: パラダイム Paradigm)です。やり方は簡単です。トップ・ダウン方式に、
- G (Goal): データ測定の目的(コンセプト)を設定する。製品やプロセス、資源(リソース)などから、なぜデータを取得・測定しなければならないのかを定義する
- Q(Question): その目的を達成するにはどんなことを知らなければならないのか、その疑問を特定の立場から質問してみる
- M(Measure): その質問に答えるためにどのようなデータを取得・測定しなければならないか、主観的なデータや客観的なデータを列挙する
とやるだけです。
大きなホワイトボードなどを使ってチームで議論しながら測定すべきデータを洗い出していっても良いし、下図のように思いつくまま表に書き込んで行ってもよいと思います。僕は主に表を使っています。
GQM を使って、彼女と測定すべきデータを洗い出してみました。するとたった 2時間ほどのミーティングで、たった 2 つと言っていた測定データ数が、一次データと二次データを含めて、なんと 78 個にまで増えました。
GQM は一つの例ですが、ツールを使ってシステマチックな考え方ができるところが、リーンシックスシグマの良いところだと、僕は思っています。