エッセイ: 科学・産業博物館でTHINK

冬休みを利用して、シカゴの科学・産業博物館を見学してきました。隔年ごとに訪れ、これで3度目になりました。まったく変わっていないように見える展示物も、細かいところは違うようでした。今回は何故か IBMのパビリオンである、THINK に惹かれるものがありました。

THINK は、人類のより良き将来のために、テクノロジーがどのように貢献できるのかを示唆したパビリオンです。そのためにも、

  1. 見ること(Seeing)
  2. 関連付けること(Mapping)
  3. 理解すること(Understanding)
  4. 信じること(Believing)
  5. 行動すること(Acting)

が大切なのではないかと、提案していました。

面白いなと思ったことは、考えること(Thinking)は行動(Acting)が伴って初めて考えたことになること、そしてそれまでの過程にいくつかのステップがあるということです。特に関連付けること(Mapping)と信じること(Believing)が、そのステップに含まれていることに、興味を持ちました。

リーンシックスシグマでは、まず最初にプロジェクト憲章を作り、プロジェクトが解決しようとする問題点やプロジェクトの範囲を明確化します。これは現在抱えている問題点を直視(Seeing)しようとすることではないでしょうか。

プロジェクトの範囲を見極めた後、僕は、考えの道筋(Thought-Map)というものを作ります。Thought-Map は、問題解決のために使うツールや手法を、問題解決のフレームワークに沿って選び、そして並べたものです。

ブラックベルト認定プロジェクトやグリーンベルト認定プロジェクトの場合は、その候補者に、これまでのトレーニングで学んだツールをどのように、そしてどの順番で使うか、自ら Thought-Map を設計してもらうこともあります。

これは見たこと(Seeing)を、自分の知識と関連付けること(Mapping)と等しいのではないかと思いました。

リーンシックスシグマでは、色々なツールを使いますが、これはできるだけデータをもとに、客観的に物事を捉えようとするためです。つまり色々な手法を使ってデータを収集するのは、物事を事実に基づいて理解しようとする(Understanding)ためです。

そして、データをもとにツール類が導いた答えを信じること(believing)も大切です。しかし信じることが結構難しい場合があります。例えば、Pugh Matrix などで最適なコンセプトを選ぼうとしたとき、自分の先入観と Pugh Matrix の結論が違う場合がたびたびあります。そんな時、Pugh Matrix 結論を信じることができるかどうか、試されることがあります。

もしそれを信じることができれば、後はそれに従って行動する(Acting)だけです。そうすれば、きっとリーンシックスシグマが問題を解決してくれるでしょう(これもリーンシックスシグマを信じることですね)。

僕は IBM のパビリオン THINK を見ながら、IBM が提案する THINK のフレームワークも、リーンシックスシグマのフレームワークも、それほど違わないのだなと考えていました。