エッセイ: 一言で言えば・・・

パワーポイントを使って一時間近く、くどくどとリーンシックスシグマについて説明した後、退屈した一人の参加者が「では一言で言って、リーンシックスシグマとは一体何ですか?」と聞いてきました。決して彼を雲に巻くつもりはなかったのですが、一時間の内容を一言でまとめれば「リーンシックスシグマは確率論的アプローチをとる問題解決方法です」と答えました。この確率論的アプローチこそがリーンシックスシグマの核心だと思うからです。

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エッセイ: ゼロ DPMO って本当?

先日、取引先のプリント基板メーカーの方が来社されました。その会社は弊社に電源装置(プリント基板として)を納品してくれています。その装置はそれほど数が出る製品ではないので、自社生産ではなく外注に任せているからです。来社されたその会社の部長さんは製造と品質管理を行っている方で、もっと仕事の量(取引)を増やして欲しいという趣旨のもと、色々な技術説明をして下さいました。

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エッセイ: 洞窟ツアーと p値

先日、休暇を使ってケンタッキー州にあるマンモス・ケーブ国立公園に行ってきました。ここには世界で一番長い洞窟群があり、その洞窟ツアーが今回の目的でした。この国立公園には実に様々な種類の洞窟ツアーがあり、ツアーごとにテーマが異なっていたり、難易度が異なっていたり、歩く長さが異なったりしていました。夏休み期間中のためかどのツアーも満員で予約が必要でした。そのため僕は予め「歴史ツアー」という、約二時間、およそ3キロ程度の距離を歩く洞窟ツアーを予約しておきました。

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エッセイ: アンケートについて少し

社内の業務改善を行うとき、体系的な方法を使ってプロジェクトを進めていくことがとても重要になります。特に業務改善のようなプロジェクトは、問題の本質や解決すべき問題の範囲が、プロジェクトを進めるに従ってどんどんと変わっていくことがあり、「気が付いたときは収拾がつかなくなっていた」などということが、しばしば起こります。所謂スコープ・クリーク(scope creep)という問題です。先の投稿でも少し触れましたが、リーンやリーンシックスシグマ(DMAIC)は、スコープ・クリークを防ぐ上でも、とても有効な手段です。

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書評: Numbers Rule Your World

会社の同僚から薦められた統計に関する本です。統計の本といっても、統計に必要な数式やグラフは一切でてきません。話を補足する程度の数字と簡単なグラフが少し出てくる程度です。この本は、数字にまつわる幾つかの興味深い話をまとめたもので、殆どが文章です。数式を考えずに統計の話を読んで楽しむには、面白い本かもしれません。

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エッセイ: 反復性と再現性の分析

今日も少し技術的なこと、データ測定について書いてみようかと思います。

シックスシグマは多くの場合、製造プロセスに用いられ、また DFSS (Design for Six Sigma)は多くの場合、ハードウェア設計に用いられます。(注:ソフトウェアやファームウェアの設計に DFSS を用いることもありますが、割合からすると、やはりハードウェア設計に用いる場合が多いのが現実です。ソフトウェアやファームウェアの DFSS については、後日書きます)。製造プロセスやハードウェアの設計には必ずデータ測定が付きまとい、そしてデータ測定には必ず誤差が付きまといます。測定したデータの誤差は避けられないものなので、むしろ、測定したデータの誤差がどこから来るのかを理解することが重要になってきます。

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エッセイ: Nemawashi(根回し)

先日、友人があるメルマガを転送してくれました。メルマガは業務改善の苦労を紹介したもので、最後に「業務改革のやり方を体系的に整理することが必要だ」と締めくくられていました。リーンシックスシグマを実践する友人も同意してくれると思いますが、業務改革のやり方を体系的に整理したものとして、リーンシックスシグマはその最たるものだと僕は思います。

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解説: ボイス・オブ・カスタマー(VOC)

どの企業の、どのサービスでも、お客様の声を大切にします。顧客満足を高めるためのフレームワークであるリーンシックスシグマももちろんお客様の声を大切にします。リーンシックスシグマには、DMAIC(Define、Measure、Analyze、 Improve、Control)や DMADV(Define、Measure、Analyze、Design、Verify)など、いくつかの問題解決のためのフレームワークがありますが、それぞれ共通するのは、定義(Define)フェーズで、まずお客様の声を拾い上げ、サービスや品質の向上など、問題解決の方向性と目標を定義することです。この過程(もしくはツール)をボイス・オブ・カスタマー(VOC)と呼んでいます。VOC を誤ると、まったく顧客満足を得られないサービスや製品を作りかねないので、リーンシックスシグマのプロジェクトの中でも、VOC は最も重要なツールとなっています。

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事例: 認定プロジェクトの開始

毎年10月と11月はリーンシックスシグマの認定プロジェクト(グリーンベルトやブラックベルト)がたくさん立ち上がる時期なので、今年も大変忙しく過ごしました。というのも、今働いている会社は10月が年度初めなので、従業員達が新年度の目標に、リーンシックスシグマの認定を挙げることが多いからです。今年もこの二ヶ月で、7つのグリーンベルト・プロジェクト、4つのブラックベルト・プロジェクトの指導を担当することになりました。今はプロジェクトのセットアップも一通り終わり、ようやく一息つけるようになりました。

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事例: 属性一致分析(Attribute Agreement Analysis)

リーンシックスシグマでは、測定システム分析(MSA: Measurement System Analysis)の一環として、オペレータ(人)を含めた測定システムの再現性や反復性を調べることがあります(Gage R&R)。この測定システム分析は、連続数値を扱う方法と、離散数を扱う方法の、二つに分類されますが、主に前者の連続数を扱う測定システム分析が用いられ、抵抗値や電圧、サイズの測定などに使われています。

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