ここ数か月、Linkedin を積極的に使っています。理由は二つあります。一つ目の理由は、Linkedin の中にある多くのリーンシックスシグマ関連のグループ内で、今どのようなことが会話になっているのか、謂わばリーンシックスシグマ業界の市場調査のようなものがしたかったためです。
二つ目の理由は、リーンシックスシグマ関連のグループ(掲示板のようなもの)内に自分のコメントを残すことで、その反応を通じて、リーンシックスシグマ業界における自分の位置や価値を知りたいと思ったからです。
リーンシックスシグマの技術的な話からは離れますが、ここでは少し Linkedin を通じて個人的に感じた、リーンシックスシグマの現状について書いてみたいと思います。
Linkedin を積極的に覗くようになった直接のきっかけは、上司や同僚から「リーンシックスシグマに関する論文でも書いてみたらどうだ」と薦められたことです。しかし文章を書く前に、リーンシックスシグマ業界で、今どのようなことが話題になっているのかを、少しでも理解する必要があると思いました。またどのような立場で、どのような人々のために文章を書けば良いのかを知りたいとも考えました。そのためには、Linkedin を覗くことが一番手っ取り早い方法と思えたのです。
1. Linkedin のリーンシックスシグマ関連グループ
リーンシックスシグマ関連のグループ(掲示板のようなもの)を Linkedin で検索すると、今現在 622 件のグループが表示されます。最大のグループはその名のとおり”Lean Six Sigma”で、46 万人のグループ員が登録されています。僕もその中の一人で、主に自身のコメントを残すのはこのグループです。
リーンシックスシグマ関連の 622 グループのうち、僕は興味のある 19 のグループに登録し、それらの内容を定期的に見ていますが、中でもこの”Lean Six Sigma”グループが最も活発なようです。そのため僕はこのグループを主な「リーンシックスシグマ業界の市場調査」の対象としています。
この”Lean Six Sigma”グループは包括的にリーンシックスシグマ関連の話題を扱っていますが、一方他のグループは細分化されており、例えばリーンについて、DFSSについて、地域別のリーンシックスシグマについて、リーンシックスシグマ業界の求職者について、などと様々に分かれています。対象が細分化されているためか、グループ内での活動(コメント/発言)はそれほど活発ではありません。
活発なグループは質問事項やコメントが多く投稿され、そうでないグループは外部リンクだけが張られる傾向があります。必然的に、質問やコメントが多いグループがより多く読まれ、外部リンクだらけのグループは廃れています。その意味において、”Lean Six Sigma”グループはリーンシックスシグマ関連グループの中で最も活発なグループになっています。
2. 投稿の内容
投稿内容は、リーンシックスシグマ関連記事への外部リンク、質問事項、そして関連記事を読んだ感想や質問への回答といったコメントの 3 種類に分類できます。量的には、関連記事への外部リンクが9割、質問とコメントがそれぞれ五分ずつといったところでしょうか。関連記事への誘導(リンク)は、広告としても使われているような感じがします。
3. リーダーシップがすべて
面白いことに外部リンクの内容を見ると、その殆どがリーダーシップに関する記事ばかりです。もちろんリーンシックスシグマの技術的な記事への外部リンクもあるのですが、圧倒的にリーダーシップに関する記事への外部リンクが多いことに気づきます。
リーダーシップに関する記事が多いということは、それだけリーダーシップに興味がある人々がリーンシックスシグマ業界には多いということなのでしょう。
日本ではリーダーシップを論ずるよりも先に、チームワークに重点が置かれる傾向があります。それは僕も正しいと思います。なぜならビジネスを成功させるためには優れたチームワークが欠かせないからです(特にリーンシックスシグマは)。しかし Linkedin を見る限りそうとも言えません。ここではリーダーシップがすべてです。もしかしたらこれがリーンシックスシグマの本質であり、日本のやり方とは違うところなのかもしれません。
リーンシックスシグマではツールなどを学び、技術的なことを議論しますが、その本質はやはりプロジェクトを成功に導くリーダーシップなのです。僕も業務を通じてそう理解するようになりましたし、Linkedin を見て改めてそう思うようになりました。
4. 技術的な話題
Linkedin ではリーンシックスシグマの技術的な話題については、それほど議論されていないようです。もしリーンシックスシグマの技術的な内容を学びたいというのであれば、Linkedin はお奨めしません。新しい専門書を読んだほうが遥かに勉強になります。
グループ内で技術的な質問をされる方も多くいますが、内容的にはどちらかと言えばレベルが低いものが多いように見受けられます。
5. コメントへの反応
僕は、興味のある質問へは積極的に回答やコメントを残すようにしています。その反応としては、コメントを残し始めてから急に僕のプロフィール(履歴書)の閲覧回数が増えたり、コンタクト依頼が増えたりしました。
一方、ヘッドハンターからの求人募集に関しては、コメントを残すことはあまり影響がないようです。求人に影響が無い理由は、僕のプロフィールに魅力がないか、またはリーンシックスシグマ業界の求人が少ないか、そのどちらかだと思います。
6. 全体的な感想
Linkedin を覗くことで、リーンシックスシグマ業界の最新情報を手に入れることができると期待したのですが、今のところ期待はずれで終わっています。Linkedin で時間を潰すよりも、むしろ専門書を読み、それを日々実践することの方が、よっぽど重要なことのように感じています。