製品開発業務では、要求仕様書、製品仕様書、開発仕様書、テスト仕様書など、数多くの仕様書を階層的に関連付けるために、V-Modelを良く使います。V-Model は要求仕様書から始まり、製品仕様書、開発仕様書へと落ちて行き、そして開発に至ります。そこから逆に単体テスト仕様書、製品テスト仕様書、納入テスト仕様書へと上がって行くため、その形から V-Model と呼ばれています。この V-Model と QFD (Quality Function Deployment 品質機能展開)は大変相性が良いため、DFSS(Design for Six Sigma)の現場では V-Model と QFD が併用されています。
V-Model で作られた仕様書も、QFD で抽出された項目も、どちらも階層的に仕様を詳細なレベルまで落とし込んでいくところは同じですが、両者には二つの大きな違いがあります。V-Model の仕様書には、製品や設計の全ての内容が記載されますが、一方 QFD には NUD 仕様、つまり新しい仕様(New)、変わった仕様(Unique)、そして難しい仕様(Difficult)だけが記載されます。また QFD にはそれぞれの項目の重要度が、数値で表されます。
実際の新製品開発では(完全な新事業かつ新規開発でない限り)、恐らく80%程度の仕様が既存製品からコピーされ、残りの20%程度が NUD 仕様ではないでしょうか。そのため、全ての内容が記載される V-Model の仕様書は、既存の仕様 + NUD 仕様となり、また QFD は、新規製品の NUD 仕様を洗い出し、V-Model の仕様書に反映させるために使われます。
V-Model と QFD の併用は、このようにいくつかの利点があります。一つ目は QFD が洗い出した項目を、詳細レベルに合わせて、階層的な V-Model の製品・設計仕様書に反映できること、二つ目は同様に、QFD が洗い出した項目は新たなテスト項目として、詳細レベルに合わせて、やはり階層的な V-Model の テスト仕様書に反映できること、そして三つ目は、 QFD が数値で示す重要度に応じて、プロジェクトを計画(コストやスケジュール、人員の確保)できることです。
問題があるとすれば、ドキュメントの管理でしょうか。ドキュメントの種類が増えるために、適切な更新がされない場合があるかもしれません。ドキュメント管理を少しでも正確に、かつ効率的に行うためには、ソフトウェアの利用が有効です。例えば IBM Rational DOORS は、仕様書類を V-Model で管理するには適切ですし、QFD については色々なソフトウェアが市場にあります。